“人生の後半、もう一度、人を想う気持ちを思い出したら──”
映画『平場の月』は、朝倉かすみさんの同名小説を原作とした、静かで切ない人間ドラマです。
主人公・青砥健将(堺雅人)は、妻と別れ、母の介護をしながら地元で印刷会社に勤めています。
ある日、中学時代の初恋相手・須藤葉子(井川遥)と再会。
夫を亡くした葉子は、地元の病院の売店で働いており、再び交わるふたりの人生は、静かに動き始めます。
若いころのような情熱的な恋ではなく、「誰かを想うこと」「寄り添うこと」を思い出すような穏やかなつながり。
けれど、その再会の裏には、葉子が抱える病という現実がありました。
“平凡な日々の中にも、かけがえのない時間がある”——。
最後に青砥が見上げる“月”の光には、「もう一度、自分の人生を生きよう」という静かな決意がにじんでいます。
この映画は、派手なドラマではなく、日々の暮らしの中にある“やさしい愛”を描いた物語。
観終わったあと、静かに心を包むような余韻が残ります。
公開情報
- 公開日:2025年11月14日
- 公式HP:https://hirabanotsuki.jp/
- 監督:土井裕泰(『花束みたいな恋をした』『罪の声』)
- 脚本:向井康介(『ある男』『色即ぜねれいしょん』)
- 原作:朝倉かすみ『平場の月』(光文社)
見どころポイント
1. 静けさの中に宿る「大人の愛」
恋愛映画でありながら、情熱ではなく“寄り添い”を描く。
派手な言葉はないけれど、沈黙やまなざしが深く心に響きます。
2. 名優たちの繊細な演技
堺雅人が演じる青砥の不器用な優しさ、井川遥が見せる微笑みの裏の寂しさ。
言葉を超えた“空気の演技”が、この作品の魅力です。
3. 現代を生きる私たちへのメッセージ
「後悔のない人生を生きたい」
「もう一度、自分を取り戻したい」
そんな想いを静かに照らしてくれる、人生の応援歌のような作品です。
こんな人におすすめ
- 40〜50代で「もう恋なんて…」と思っている方
- 過去の自分と向き合い、これからの人生を大切に生きたい方
- 心が疲れたとき、静かに癒されたい方
- 『東京タワー』『花束みたいな恋をした』など、人間ドラマが好きな方
登場人物と相関図
青砥健将(堺雅人)
妻と別れ、地元に戻り母親の介護をしながら印刷会社で働く。
中学時代の初恋相手・須藤葉子と再会。
中学時代の青砥健将(坂元愛登)
どこか不器用で、葉子に密かに想いを寄せていた少年。
須藤葉子(井川遥)
夫を亡くし地元に帰郷。病院の売店で働きながら、再び青砥と出会う。
中学時代の須藤葉子(一色香澄)
儚げな雰囲気をまとい、青砥や江口の心を惹きつける存在。家庭には複雑な事情も。
江口剛(大森南朋)
青砥・葉子の同級生。中学時代からの親友。
鎌田雄一(成田凌)
葉子のかつての恋人。大阪出身で東京の美容師。
児玉太一(塩見三省)
青砥と葉子が通う焼鳥屋の大将。ふたりを見守る存在。
青砥健介(倉悠貴)
青砥の息子。少し女性関係にだらしない一面も。
上村みづき(吉瀬美智子)
青砥の前妻。離婚後、息子と暮らす。
リリー(栁俊太郎)
印刷会社の後輩。青砥に慕われるムードメーカー。
安西知恵(椿鬼奴)
青砥・葉子の中学の同級生であり、青砥の職場の同僚。
ヤッソさん(でんでん)
印刷会社の上司であり、青砥の飲み仲間。
うみちゃん(安藤玉恵)
葉子の職場仲間で、同じく中学の同級生。
みっちゃん(中村ゆり)
葉子の妹。優しく姉を見守る存在。
相関図
青砥健将(堺雅人)
├─ 元妻:上村みづき(吉瀬美智子)
│ └─ 息子:青砥健介(倉悠貴)
│
├─ 初恋の相手:須藤葉子(井川遥)
│ ├─ 妹:みっちゃん(中村ゆり)
│ ├─ 元恋人:鎌田雄一(成田凌)
│ └─ 同僚:うみちゃん(安藤玉恵)
│
├─ 同級生・友人:江口剛(大森南朋)
│ └─ 同級生仲間:安西知恵(椿鬼奴)
│
├─ 職場仲間
│ ├─ 後輩:リリー(栁俊太郎)
│ ├─ 上司:ヤッソさん(でんでん)
│ └─ 同僚:安西知恵(椿鬼奴)
│
└─ 行きつけの焼鳥屋の大将:児玉太一(塩見三省)
【中学時代】
├─ 青砥健将(坂元愛登)
│ ├─ 想いを寄せる相手:須藤葉子(⼀⾊香澄)
│ └─ いつも一緒に過ごす友人たち:江口剛ほか
└─ 須藤葉子(⼀⾊香澄)
└─ 複雑な家庭環境を抱える儚げな少女
まとめ|「平場」で生きることの尊さ
『平場の月』は、派手な展開ではなく、人生の“静けさ”を描いた物語。
若さも勢いも過ぎたあとに訪れる、穏やかで深い愛。
それは、誰かを思い出すような懐かしさと、
もう一度、誰かを大切にしたくなるような優しさに包まれています。
「平場」とは、誰もが生きる場所。
この映画は、その“ありふれた日々”こそが、実はかけがえのない宝物なのだと教えてくれます。


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