【鬼滅の刃】猗窩座の最後と鬼になった理由を心理学で解説|悲しい過去と強さへの執着

【鬼滅の刃】猗窩座の最後と鬼になった理由を心理学で解説|悲しい過去と強さへの執着 トレンド

こんにちは!
今日は『鬼滅の刃』に登場する上弦の参・猗窩座(あかざ)について、心理学の視点から深掘りしてみたいと思います。

猗窩座といえば、煉獄杏寿郎との激闘で強烈な印象を残したキャラクター。鬼でありながら「強者との戦い」に異常な執着を見せ、人間を鬼に勧誘する姿は恐ろしい反面、どこか哀しさを感じさせます。
彼の過去を知ると、「ただの悪役」とは言い切れない複雑さが浮かび上がります。

今回はそんな猗窩座の心理、過去、そして最期までを、心理学のキーワードを交えてわかりやすく解説していきます。

簡単あらすじ

猗窩座は、上弦の参として鬼舞辻無惨に仕える鬼。格闘術に特化した武闘派で、「破壊殺」という血鬼術を駆使して戦います。
彼の特徴は、強者を探し続ける異常な執念。弱者を軽蔑し、強い者との戦いを至上の喜びとします。

物語では、無限列車編の終盤で煉獄杏寿郎と対決。煉獄を倒した後、炭治郎たちとの再戦を経て、最終的には人間だった頃の記憶を取り戻し、自らの首を落として消滅します。

鬼になった理由:喪失と罪悪感のループ

猗窩座の人間時代の名は狛治(はくじ)。幼い頃から病気の父を看病するため盗みを繰り返し、度重なる罪で入れ墨を入れられるほどでした。

しかし、父は「自分のせいで息子が盗みをするのは許せない」と自ら命を絶ちます。
狛治はその遺体の前で泣き叫びます。

「親父……なんで……!俺は……親父を……!」

これは、彼にとって最初の大きな喪失でした。

心理学的には、これは**「複雑性悲嘆」**の典型です。
複雑性悲嘆とは、近しい人の死が長期にわたって精神的な傷となり、後の人生に影響を及ぼす状態を指します。

その後、武術道場の師範と娘・恋雪に救われ、再び生きる意味を見出します。
恋雪は言います。

「もう……人の物を盗まなくてもいいのよ」

しかし、道場の他流試合によって二人は毒殺されてしまいます。
狛治は理性を失い、相手道場の67人を素手で殺害。

「何で……何でだよォォォ!!!」

この凶行の直後に鬼舞辻無惨と遭遇し、鬼へと変えられました。

ここには**「喪失と罪悪感のループ」**があります。
父の死 → 新しい家族との出会い → 再び全てを失う → 怒りと悲しみによる破壊衝動。
この連鎖が止まらないまま、鬼としての人生に突入してしまったのです。

心理的特徴1:強者への執着=アイデンティティの再構築

猗窩座は弱者を見下し、強者との戦いだけを求めます。

「弱者には用はない、死んで償え!」

これは、過去の喪失体験から「守るべき人」を失い、代わりに「強さ」そのものを生きる目的にした結果です。

心理学的に言えば、これは**「アイデンティティの再構築」**です。
人は大切な価値観や人間関係を失ったとき、それを埋め合わせるために新しい自己像を作り上げます。猗窩座の場合、それが「最強を目指す武人」でした。

心理的特徴2:自己正当化と選択的記憶

猗窩座は人間の頃の記憶をほとんど失っています。

「俺には……過去などない」

これは鬼になった影響でもありますが、心理的にも**「抑圧」「自己正当化」**が働いていると考えられます。

自分の行い(人を殺す、喰らう)を正当化するために、過去の人間らしい記憶を封印する。
さらに、強者と戦うことを「相手を高めてやる善行」として認識することで、罪悪感から逃れています。

心理的特徴3:条件付き承認と愛情の渇望

狛治の人生を通じて一貫しているのは、「自分を認めてくれる存在」への渇望です。
父も恋雪も、彼を無条件に受け入れてくれた数少ない人でした。
しかし、両者とも非業の死を遂げたことで、彼は「愛する人を守れない自分」を呪います。

「もう二度と……失わねぇ……強くなって……絶対に……!」

その結果、「愛よりも強さを」という価値観に転換。
これは心理学でいう**「条件付き承認」**の裏返しです。
無条件の愛を失った人は、代わりに条件(強さや成果)を満たすことで自分の価値を証明しようとします。

煉獄杏寿郎との戦い:価値観の衝突

猗窩座の煉獄への勧誘は、鬼になればもっと強くなれるという誘惑でした。

「杏寿郎!鬼になれ!老いも死も克服し、永遠に戦えるぞ!」

しかし煉獄はそれを拒みます。

「老いるからこそ、人間として生きるからこそ、美しいのだ」

この場面は、心理学的には**「価値観の二項対立」**です。
猗窩座:永遠の強さ=価値
煉獄:有限の命=価値
二人は戦闘を通して互いの信念をぶつけ合いますが、最後まで相容れることはありませんでした。

炭治郎との再戦と最期:抑圧の解除

無限城での炭治郎・義勇戦で、猗窩座は記憶を取り戻します。
恋雪の声が脳裏によみがえります。

「もう……戦わなくていいのよ」

その言葉が、彼の攻撃衝動を止めます。

「俺は……何をしていた……?」

ここで起きたのが**「抑圧された記憶の解放」**です。
長年封じ込めてきた愛情や喪失の記憶が蘇ることで、彼は初めて戦う意味を失います。
そして、自らの首を落とし、消滅の道を選びます。

「恋雪……すまねぇ……」

最後の心理:自己受容への一歩

消滅の瞬間、猗窩座は恋雪に「おかえりなさい」と迎えられます。

「……ただいま」

このシーンは、彼が**「自己受容」**に到達した瞬間とも言えます。
過去の罪を帳消しにはできませんが、自分の弱さや悲しみを否定せず受け入れたことで、ようやく安らぎを得られたのです。

まとめ

猗窩座は、愛する人を守れなかった喪失感と罪悪感から、強さに異常な執着を持つようになりました。
その裏には、無条件の愛への渇望と、それを失った痛みがあります。
彼の行動は決して許されるものではありませんが、その心理背景を知ると、ただの「強敵」ではなく、深い悲しみを抱えた人物として見えてきます。

『鬼滅の刃』の魅力は、こうした悪役にも人間的な背景や心の傷が描かれていること。
猗窩座の物語は、「強さ」と「優しさ」、そして「喪失」をどう乗り越えるかというテーマを深く考えさせてくれます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました