映画『遠い山なみの光』ロケ地完全ガイド|長崎・イギリス・千葉の撮影場所を巡る旅

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物語の舞台となった風景を実際に歩く――それは、映画や小説の世界をより深く味わう体験です。
『遠い山なみの光』では、長崎の街並みや水辺、そして千葉・印旛沼に再現された昭和の情景が、物語の深みを支えています。

この記事では、映画の世界観をそのまま体験できるロケ地をご紹介。
長崎の港町や団地、千葉のオープンセット、さらにイギリス郊外の静かな住宅街まで、訪れるだけで映画の余韻を味わえるスポットをまとめました。
旅行プランの参考としても、ロケ地巡りのガイドとしても使える内容です。

簡単なあらすじ

映画『遠い山なみの光』は、記憶と嘘、家族の秘密に迫る深遠な物語です。ロンドンで作家志望のニキ(カミラ・アイコ)は、異父姉がなくなってから疎遠になっていた、母・悦子(吉田羊/若き頃:広瀬すず)の思い出が詰まった実家へと足を運びます。そこでニキは、母が長崎で出会った佐知子(二階堂ふみ)とその娘・万里子との過去にまつわる衝撃的なエピソードを聞かされ、家族の謎が少しずつ明らかになっていきます。

1950年代の戦後間もない長崎と、1980年代の英国という二つの時代背景が巧みに交差し、物語の舞台がどちらも人々の心に刻まれた記憶や失われた時間を象徴します。作家を目指すニキが母の過去を探る過程で、彼女自身の心の葛藤や家族に対する理解が深まっていきます。物語の中で明かされる“記憶”と“嘘”、そして家族それぞれが抱える秘密には、観る者を引き込む力があります。

本作は、ノスタルジックでありながらも切なく、重厚なテーマに挑む作品です。観客は、登場人物たちの過去と向き合いながら、失われた時間や人々との絆について考えさせられることでしょう。上映時間123分の間に描かれる緻密なドラマと、見逃せない瞬間の数々は、映画を観る前から心を動かすこと間違いなしです。日本、イギリス、ポーランドの合作ならではの美しい映像と音楽が、物語の深みをより一層引き立てています。

ロケ地早見表

地域ロケ地見どころ
長崎稲佐山、南山手、平和公園、旧県営魚の町団地坂の町と団地ツアー
千葉印旛沼・手繰川のオープンセット戦後の長崎を再現
イギリスロンドン郊外の可能性イシグロ原作の空気感

長崎ロケでの制作裏話|“手触り”を追求した撮影の舞台裏

監督・石川慶のこだわり:「長崎の“手触り”を映像に」

石川慶監督は長崎での撮影を非常に重視しており、以下のような思いを語っています:
「長崎は坂道が多く、入り組んだ港町の“手触り”がある。城山や原作者カズオ・イシグロさんの生家の近くも歩いてみたが、そこには原作に描かれた空気が確かにあった」
さらに当時の長崎は「復興が進み、駅周辺には洋裁店やキャバレーが賑わい、人々が音楽を楽しんでいた」と振り返り、戦後の「生きている」生活感を描きたかったと述べています 。

実際のロケと美術セットの融合

  • ロケ地撮影の限界:長崎の街並みは時代とともに変化しており、現地での撮影だけでは再現が難しかったため、多くの街並みはCGによる改修やセット再現が行われました 。
  • 印旛沼のセット:千葉・印旛沼近くには、昭和時代の長崎を再現したレトロなセットが設置され、浜屋百貨店の看板や赤レンガ調の壁、昭和の雑多な生活感を再現する路地裏など、細部にまでこだわった空間が作られました 。
  • 撮影時の温度:地元住民がセットを見学にやってくるほどリアルな雰囲気を醸し出し、広瀬すずさんらキャストも「役に入りやすかった」と語るほどでした。

長崎ロケ地|坂の町が映す“記憶のにごり”

稲佐山(長崎市)

©ぱくたそ

シーン解説
映画では、稲佐山からの眺望が、郷愁と孤独を象徴するように描かれています。ロープウェイで登るシーンもあり、記憶と現実を繋ぐ重要な舞台です。稲佐山は、長崎を代表する夜景スポット。映画では、戦後復興の息遣いを映す風景として描かれました。夜景はもちろん、昼間の眺望も美しく、映画の静けさを思い起こさせます。

訪問ポイント

  • 所在地:長崎県長崎市大浜町364 稲佐山公園
  • アクセス:長崎駅前からバス→「ロープウェイ前」下車、徒歩2分 ● ロープウェイで山頂へ
  • 制作裏話:「ケーブルカー」の愛称で登場する稲佐山ロープウェイは、母と娘の観る風景に象徴的な意味を与えています。

市電が交差する操車場・長崎の街並み

©ぱくたそ

シーン解説
戦後期の長崎らしい街の風景—市電、自転車、生活音…—を通して、悦子が過ごした時代の匂いが伝わるシーンです。細い路地や坂道など、風景そのものが感情を語ります。

南山手エリア(オランダ坂〜グラバー園)

©Photo AC

シーン解説
洋風建築が並ぶ南山手の風景は、悦子と佐知子が語らう場面で使用されました。夕暮れ時の柔らかい光の中での撮影は、二人の関係性を象徴するシーンとしても印象的です。

平和公園の“白い巨像”(平和祈念像)

©パブリックドメインQ

シーン解説
戦後の長崎、記憶と記録が交錯する場所。原作にも登場する「白い巨像」が、映画においても記憶の重みとともに登場しています。

旧県営魚の町団地|配膳窓のある暮らしを体験

ここが、映画ファンには絶対に外せないスポット。悦子が台所の配膳窓から弁当を出すシーンのモデルとなったのが、この旧県営魚の町団地です。
現在、団地は見学ツアーが開催されており、1人500円で参加可能。1階では、当時の生活風景を撮影した写真展や、劇中シーンのパネル展示も楽しめます。
イベント情報

  • 入場無料
  • 見学ツアー:1人500円
  • 最新日程はInstagram(@uonmachi_plus)で確認

「映画に出てくる時代の暮らしについて、想像をふくらませる場所になれば」
と語るのは、運営する田中伸明さん。まさに、映画の世界と現実が交差する場所です。

ロケ地の住所・アクセスまとめ

スポット所在地最寄アクセス
稲佐山長崎市大浜町364長崎駅前バス → 「ロープウェイ前」 → 山頂へロープウェイ
市街地の操車場・坂道長崎市内各所長崎市電や徒歩で散策可能
南山手エリア長崎市南山手町路面電車・バスでアクセス良好
平和公園長崎市平和町路面電車・バスでアクセス良好
長崎旧魚の町団地〒850-0874 長崎県長崎市魚の町2-18長崎電気軌道3系統 市役所駅 徒歩3分

千葉・印旛沼|長崎の昭和を再現したオープンセット

映画『遠い山なみの光』ロケ地完全ガイド|長崎・イギリス・千葉の撮影場所を巡る旅

©Photo AC

映画では、戦後の長崎を再現するために千葉県・印旛沼の手繰川周辺に特設セットが設置されました。ここでは、長崎浜屋の看板や赤レンガ壁、昭和の雑多な商店街の雰囲気が忠実に再現されました。

印旛沼オープンセットの特徴

  • 赤レンガの塀や古い電柱
  • 「浜屋百貨店」を模したレトロな外観
  • 昭和期の生活感あふれる商店街

美術チームは、地形や建物の密集度、路地の狭さ、電線の配置まで工夫し、長崎特有の街並みの圧迫感を再現しました。印旛沼の穏やかな水辺との対比が、映画に独特の異化効果を与えています。

訪問のポイント

印旛沼を周遊する観光船やサイクリング、キャンプやBBQなど自然を満喫しながらアクティビティを楽しむことができるため、ゆっくり過ごすにもオススメです。

  • 場所:千葉県印西市・印旛沼水系手繰川付近
  • アクセス:京成線「印旛日本医大駅」から車で10分

イギリス・ロンドン郊外|静かな住宅街と田園風景

映画『遠い山なみの光』ロケ地完全ガイド|長崎・イギリス・千葉の撮影場所を巡る旅

©Photo AC

映画の現代パートでは、イギリス郊外の住宅地や田園風景が登場します。
具体的なロケ地は公表されていませんが、ロンドン郊外の田園地帯が使用された可能性があります。

イギリスロケ地の魅力

  • 静かで落ち着いた住宅街が、過去と向き合う悦子の姿を際立たせる
  • 緑豊かな田園風景が、長崎の街並みとの対比で時間と記憶の断層を表現
  • イシグロ自身も、長崎とイギリスの風景を通して「記憶と希望」を描く作品であるとコメント

長崎の鮮やかな記憶と、イギリスの静謐な風景が交錯することで、映画に深い叙情性が生まれています。

監督・制作陣のコメント

石川慶監督:「長崎とイギリス、どちらの街並みにも“記憶”の重なりを持たせたかった。原作の静謐な語り口を大切にしたいと思った」

ロケ地選定チーム:「長崎では観光地ではなく“生活のにおいが残る”場所を意識して選びました。特に南山手の撮影は、夕方の自然光を活かすタイミングが難しく、数日間待機したことも」

■ まとめ:映画の余韻を旅で感じる

『遠い山なみの光』は、静かに心を揺さぶる物語。その魅力を支えるのが、丁寧に選ばれたロケ地と、そこに息づく空気感です。そして何より、広瀬すずさんをはじめとする俳優陣の真摯な想いが、作品に命を吹き込んでいます。

長崎の港町や団地、千葉の印旛沼、イギリス郊外の住宅街――
『遠い山なみの光』のロケ地を巡る旅は、映画の余韻を五感で味わえる特別な体験です。

物語の世界を、実際に歩きながら楽しむ。それはまさに、映画の中の時間と記憶を、自分自身の旅の中で追体験すること。あなたもこの映画の風景を訪れて、静かで美しい世界に浸ってみませんか?

映画を観た感想やネタバレありの詳しいレビューはこちらでご覧いただけます。
遠い山なみの光 映画感想(ネタバレあり)

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